君の名は vol.2

大野雄大ノーヒットノーランから約25時間後、大野雄大の前に中日でノーヒットノーランを達成した山井大介が今日の先発のマウンドに上がった。

全国の中日ファンは前日から大野雄大のあの快投が忘れられず、どこのスポーツニュースでもこの快挙について扱っていたことで近年で一番幸せな時間を過ごしていただろう。

普段は何かの圧力で全然スポーツニュースで扱ってもらえないという鬱憤を晴らしてくれた大野雄大に感謝した人も少なくはないはずだ。朝から東京中日スポーツ新聞はほぼ完売状態だったと聞く。MGC愛知出身の鈴木亜由子東京五輪内定を勝ち取ったことで名古屋の中日ファンはより一層幸せな気分で今日の試合開始を迎えていたはずだ。

さてそんな幸せいっぱい、今年こそCSに出られるという希望の光を見ていた中日ファンを現実世界に強引に引き戻したのは先発・山井大介だった。

開始しておそらく90秒ぐらいで前日からのノーヒット状態をぶち壊したかと思えば、その30秒後にはあっさり先制されるという大惨事…

何とか初回は0点で切り抜け、野手陣に「おんぶにだっこ」の状態で3回終了時には2-1と逆転をしてもらう。

しかしその後も山井の乱調は収まらない。勝ち越し点を味方がノーヒットで精一杯奪ったかと思えば、その直後に宮崎に一振りで同点を許してしまう。それだけにとどまらず桑原に二塁打を打たれ、2死2塁とされると与田監督もたまらず投手交代を告げる。

前日、大野雄大が必死に1人で投げぬいた中継ぎ陣の貯金を3回1/3で降板してあっさり使い果たしてしまう41歳の山井に容赦なく「引退しろ」の声が降り注いだ。

その後のリリーフ陣も広島との3連戦で大奮闘した反動からかいまいち調子がよくない。三ツ間は2死からロペスに勝ち越しツーランを浴び、この前まで連続無失点だった藤嶋があっさり2失点してしまう。又吉&祖父江と石橋のバッテリーが見事に0点で抑えたのだけがポジ要素だろう。昨日までのお祭りムードが一斉にお通夜ムードになってしまった。まあ今日の山井が3回1/3で降りた時点でリリーフ陣に罪は全くない。

問題はその山井で、かつてはノーヒットノーランをやってのけたくらいDeNA戦に強かったはずなのである。今年も序盤はDeNA相手に2連勝していたし、DeNAキラーの相性は継続中かと思われていた。だが7月20日ハマスタで負けが付いてしまうと今日も乱調してしまい、DeNAキラーというのが眉唾物に聞こえてしまう。

先日の福留よろしく山井に対しても「君の名は」と問いたくなってしまう。

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もう山井がDeNA相手にも通用しないという疑惑が出た以上、引退させるべきとの声も少なくない。現に41歳だし、小笠原・山本・梅津という若い先発が少しだけ出てきていることを考えるとそう思う人がいても何ら不思議ではない。

ただし、今年の山井が今日含めて13試合に先発し、65イニングを投げているという事実を忘れてはならない。今年で言えば大野・柳・ロメロに次いでイニングを食ってくれている41歳にしては優秀な先発投手なのである。

もちろん、来シーズンは前述した若手3本柱が大野・柳に続いてくれるかもしれない。笠原だって不整脈から完全復活してくれるかもしれない。それでも怪我や不調の心配がある限り先発投手は何枚いてもいい存在であり、投げればだいたい5回3失点くらいで試合を作ってくれる山井という存在は貴重なのである。

なにせ41歳というのは山本昌ノーヒットノーランを達成した歳であり、イチローが投手としてメジャーのマウンドに立った歳でもあるのだ。山井もこれから何があるかわからない。シーズン途中から所謂「スラッター」にも挑戦しているなど向上心は持っている。まだまだ引退するには惜しい人材である。