覚悟

昨日のヤクルトvs中日の試合を見ていた中日ファンは何度も負ける覚悟をしただろう。

ロメロが急に崩れた4回裏、再びおかしくなった5回裏、京田が珍しくエラーをした6回裏、1死満塁から2者連続三振で無得点だった7回表、村上にレフトフェンス直撃のツーベースを打たれた8回裏、そして大島がフライを落とした9回裏…

これだけ負ける要素があっても最終的には2-4で中日の勝ちなのだから野球は不思議である。野村克也さんの「勝ちに不思議の勝ちあり」を体現したかのようだった。

昨日の試合、9回裏にサヨナラ負けを覚悟したのは中日ファンだったが、マウンドで1人踏ん張って投げていたのは現在の中日の抑え、岡田だった。

急にストライクが入らなくなり、何とか打ち取ったはずの青木の打球を名手大島が落球(記録はヒット)して1死1,2塁で山田・バレンティンという3,4番が立ちはだかる。彼ら2人のこういう場面での集中力の高さは今更説明するまでもない。

去年までの田島や鈴木博なら100%神宮の夜空にアーチがかかる場面で岡田は覚悟を決めてストライクゾーンでの勝負を挑む。

山田には2球で追い込んだ後カウント3-2まで行くが、最後は真ん中高めのスライダーで見逃し三振。バレンティンには追い込んでからこちらも甘いスライダーでセンターフライ。

ものの見事に絶体絶命のピンチを切り抜け6年ぶりの神宮での勝ち越しを手にした。

岡田の良さは「ストライクゾーンに投げられること」という一流ピッチャーにとってみれば至極当たり前なことである。それなのにこの「基本の基」とすら言えることを実践できていた中日の投手はここ3~4年のリリーフにはいなかった。もちろんいつぞやの広島戦やDeNA戦のように2,3本HRを打たれることもある。しかしあれ以降もめげずにストイラクゾーンに淡々と投げ込めるところに岡田の心の強さと覚悟の強さを見た気がした。