君の名は

かつて中日ドラゴンズには8年連続Aクラス、4回の優勝、初のセリーグ連覇、日本一1回という破格の成績を成し遂げ黄金期を作り上げた監督がいた。

そう、皆さんご存知落合博満さんである。この名称については別途ブログに書く予定なのでそちらで詳しく語ろうと思う。

その時代の前半期(2004年~2007年)では、荒木・井端のアライバコンビや、主砲タイロンウッズ、エースの川上とベテランの山本昌、死神岩瀬といったそうそうたるメンバーが全盛期を築き上げ歴代最強のチームとなっていた。

もちろん彼らの実力は疑うところはなく、超一流選手の集まりだったが、その中でもずば抜けて野球が上手かった選手がいた。

その選手こそが福留孝介である。

彼は1998年のドラフト1位(逆指名)で中日に鳴り物入りする。当初はショートでの入団だったが、あまりの守備難に山田監督が本格的に外野へのコンバートを図るとこれが大成功。以降は外野の守備の名手として現在でもそのイメージは受け継がれている。

彼は2002年~2007年の時代、走攻守すべてのレベルが超超一流というスーパーマンであり、圧倒的な存在であった。怪我に泣かされたことも多かったが、彼なくしては前半の黄金期はあそこまで圧倒的な強さにならなかっただろう。

打っては毎年のように3割超えるアベレージに加えて30本塁打というナゴド移転以来日本人初の快挙も2回達成し、守っては英智・アレックスとともに最強外野陣を形成し、走塁でも随所に好走塁を見せ、さらには俗にいう「意識高い系」としてチームを引っ張るなど、完全無欠の打者として君臨した。

そして彼は2007年オフにメジャーへと旅立ち、2012年のオフに日本へ帰ってきた。

当然中日に帰ってくるものだと思っていた自分は「阪神入団」の一報を聞いて愕然とした。

それから6年間、福留は阪神の選手として再び才能を開花させ、打撃こそ少しは衰えを見せたものの守備は相変わらずのうまさを見せつけてきた。さらには持ち前の意識の高さでチームを引っ張っている中日にいる38歳の並の自称ベテラン外野手とは大違いである。阪神の若手外野手がどんどん1軍に出てくるのも福留の影響が必ずあるだろう。

さて昨日の試合、3回表に全ての中日ファンに「ある記憶」をフラッシュバックさせる一撃が飛び出す。

現在の竜のエース・柳から福留が放った3ランホームランだ。

しかも打った瞬間にそれとわかる一発。福留がホームランを確信したときのバット投げのおまけまでついてきた。

この瞬間に7年前のフロントの失態を呪うとともに、ナゴヤドームで無慈悲にホームランをかっ飛ばした「中日の福留」を忘れてしまうくらいの衝撃だった。

一方こっちの38歳のベテラン外野手・藤井淳志はチャンスであっさりレフトフライを打ち上げ凡退する。藤井に対して「君の名は」と問いたくなるような内容だった。

しかしまあこれこそが藤井クオリティ、13年間変わらない彼の持ち味である。

そして今日は藤井が7番ライトで先発出場。

持ち前の意外性を武器に存分に活躍してほしいものだ。