希望と絶望 最終章

今日の甲子園での阪神戦を6-3で落としたことで、中日ドラゴンズの今シーズンの5位が確定した。結果としては3年連続での5位となったが去年・一昨年とは違う5位というような受け止めはできるだろう。

しかも金曜日にはマツダでの広島戦で大の苦手のジョンソンに土をつけ大野雄大最優秀防御率を援護し、苦手を払拭したというだけでも素晴らしかった。

ただ現実として3位に、そして4位にすらなれなかったことは受け止めなければいけないことであり、その理由のいくつかは今日の試合でも見られた。

例えば、攻撃面では2回、3回、4回と連続でランナーを出しながらもいずれのイニングも2塁にすら進めることができずに攻撃を終える。特に今日は阪神ブルペンで―のような継投で来ることは最近の傾向から明らかであり、少しでも粘り強くバッティングをしなければいけない中であっさりとした凡打が目立ってしまった。

極めつけに5回2死2塁のチャンスで大島の放った打球はサードの北条にダイビングキャッチされて5回まで見慣れたような0行進を続ける。

守備面では柳が4回まではほぼ完璧に抑えていたものの、やはり5回の北条のプレーで流れが変わったのか5回2死から代打の陽川に先制ソロホームランを打たれる。この場面では一番やってはいけないことであり、インサイドを攻めるにしてももっと厳しいところに行かなければいけない打席だった。

結局柳は6回途中につかまり、最近頑張ってきたリリーフがこの流れを止められずに一挙3失点、試合が決まってしまった。ここでリリーフ陣を攻めるのは酷であり、マルテ抜きの阪神打線相手で6回持たなかった柳にもっと踏ん張ってもらわなければいけない状況だった。

142試合目にしてシーズン序盤からほぼ変わらない野球を見せられては「根尾くんを早く出せ!」という声が高まってしまうのも無理はない。

しかし、こんな絶望にまみれた試合にも希望の光は差し込んだ。

2018年ドラフト1位ルーキー根尾昂がついに1軍の舞台に立ったのだ!

 

7回表の攻撃の途中でキャッチボールを始め、7回の裏からショートの守備に就き、アナウンスで「2番ショート根尾」とコールされたときの歓声は「代打・鳥谷」に匹敵するものがあっただろう。

しかも代わって入った初球にいきなりショートゴロが飛び、送球は逸れたもののちゃんとアウトにするという運の良さ。その後のゲッツーを見事に完成させ、7回のアウト全てに絡むというなかなかないことを見せつけてくれた。

そして8回表に石垣の振り逃げというラッキーな形で1軍の初打席が回ってくる。マウンドには最強右腕リリーバーPJという不足ない相手。思えば2軍での最初の公式戦も阪神メッセンジャー相手であり、根尾くんは阪神の外国人とやたら縁があるのかもしれない。

そういうことを思っている間にあっさりとパワーカーブとストレートを見逃してカウント0-2に。最後はパワーカーブの前にハーフスイングで三球三振という何とも微妙な結果に終わってしまった。

それでも振ろうという姿勢が見られたのは良いことであり、PJのパワーカーブ&ストレート以上のキレとピッチトンネルの構成はなかなか見られないのでとてもいい経験になったことだろう。

さらに8回裏には育成出身の木下雄介がルーキーの石橋とコンビを組んで0に抑えると、続く9回にはこちらも育成出身の渡辺勝が藤川の火の玉ストレートを完璧にはじき返してタイムリーを放つというポジらずにはいられない終盤になった。

結果は全然及ばなかったものの、序盤までのフラストレーションの溜まる状況から一転、のびのびとプレーする若手選手の姿にファンは歓喜し、粘り強く戦えていたのはレギュラー陣に見習ってほしかったところである。

そして明日は正真正銘、泣こうが笑おうが、2019シーズン最終戦であり、セリーグの順位がすべて決定する試合である。

しかも3年ぶりの2桁勝利と自身初めての最優秀防御率のタイトルがかかった大野雄大が先発し、阪神勝てば超大逆転でのCS進出が決まるというまさに大一番。

スタメンに根尾昂・石橋康太ら若手の名前は刻まれるのか、そして阪神は連日連夜のブルペンデーをとるのかという試合前・試合序盤から見どころ盛りだくさんな両チームにとっての143試合目。最後ぐらいは勝って2019年を締めくくってほしいと考える中日ファンは少なくないだろう。

明日が終わって待ち受けるのは希望か絶望か、とても楽しみである。