明日へのマーチ

ナゴヤドーム終戦、最下位が決定し、若手主体&主力温存していたヤクルト相手とはいえ、12-0で勝つのは見ていて気持ちがよかった。この前の神宮最終戦と合わせてヤクルト戦2試合連続の2桁得点で締めることができたのは今シーズン頑張って球場に通った、テレビの前で応援した、一球速報を見ていた、中日ファンへの選手からの感謝の気持ちといったところだろうか岩瀬&荒木という稀代の名手の引退試合も兼ねた最終戦で、松井雅人佐藤優の連係ミスからの失点で追いつかれ延長の果てに敗れた去年とは大違いである。

しかし、昨日1番中日ファンを沸かせたことと言えば、梅津が自分の新人王の権利を捨ててまで先発し6回3安打無失点に抑えたことでも、大島が最多安打を手繰り寄せる2安打を放ったことでも、2軍の帝王だった石川駿が1軍での今シーズン初安打&初打点を挙げたことでもなかった。

じゃあ何が中日ファンを一番歓喜させたのかというと、

昨年のドラフト1位根尾昂が1軍に合流する

という情報だったことに間違いはないだろう。

ついに、中日ドラゴンズの至宝が、近年最高の逸材が、ガッツが大事に2軍で温めてきた黄金ルーキーが、ベールを脱ぐのだ!!!

この情報に多少の心配はあれど興奮しない中日ファンはいないだろう。

何を隠そう、ドラフト前に1番騒がれたと言っても過言ではない根尾が昨年のドラ1の中では1番最後に1軍に登場するのだから何とも言えないものがある。主役の登場はいつだって1番最後なのだ。

その根尾くん、8月までは大丈夫なのかと心配するくらい打てず守れずといった状態で、今シーズンの1軍昇格はないとほとんどのファンが諦めていたくらいだった。(中にはハズレものとまで言い切った「ファン」もいるらしい)

ところが9月に入ると急に覚醒を遂げる。何試合連続安打かも数え忘れるくらい昨日まで打ち続けて打率も3割を超え守備でも持ち前の運動神経の良さと体の強さを生かしたプレーをイレブンスポーツで確認できるようになった。亀澤や三ツ俣が不甲斐ない代打の打席を見せるたびに根尾くん1軍待望論が湧き上がっていた。そうしたファンの焦りにも動じず今シーズン中の昇格としては最高のタイミングで1軍行きを決定した与田監督や首脳陣には精一杯の拍手を送りたいと思う。

やはり地元出身のドラフト生え抜き選手が活躍するのを中日ファンなら見たいと思うものである。「育てる義務はない」ときっぱり言い放ったどこかの金満球団とは大違いだ。

このファンの期待に応える活躍を根尾くんが見せたとき、「明日へのマーチ」はマツダスタジアム甲子園球場の空に高々と響き渡るのだろう。

(「明日へのマーチ」は桑田佳祐が歌っている曲であり、2011年の東日本大震災の復興応援ソングである。中日の復興も早く進むことを願って早8年。復興の難しさは種別を問わないのであろう。)