実力
先週、中日ドラゴンズはジャイアンツ・DeNAという上位2チームとの6連戦を6連勝という誰も想像していなかった形で締めくくった。
「これが1か月前なら」とか、「シーズン序盤にできていれば」なんて声もちらほらTwitterでは聞かれるが、そんな連勝をできるほど序盤は戦力は充実していなかったというのが事実であり、来シーズンへの課題となるだろう。
一方、6連勝を果たし、広島と阪神がそこまで勝ち星を伸ばせなかったことで、終戦間近だったCSと4位の椅子がわずかに見えるようになってきたのも事実である。
私はシーズン始まったころから
「中日の選手たちには力はある、それを最大限活かしきれていないだけだ」
という考えの持ち主なので、中日が上位チームにとって終盤に苦しむ相手になりうることも全く想定外ではなかった。(もちろんここで6連勝できるとは夢にも思っていなかったが)
選手個々の能力は2010年や2011年の落合政権時代と見劣りしないように思える。
与田監督の選手への熱い思いや、選手の不屈の魂が徐々に出始めてきた。
若手の頑張りや、崖っぷちからの復活を見事に果たした選手たちが現れ始めた。
これこそが今の6連勝という状態の良さの正体であると睨んでいる私からすれば、明日からのマツダでの広島戦は一種の実力テストのようなものであると考えている。
はっきり言ってこの3連戦はかなり厳しい。
エース大瀬良・ホープの床田・中日キラー野村の3本柱を擁し、しかもチーム状態は僅差で阪神に競り勝つという中日に負けず劣らずの好調さ。3連敗する可能性はかなり高い。
大逆転優勝や、2位でのCS進出に向けてはマツダの中日戦では絶対負けられないという選手とファンの熱意が試合開始前日でも伝わってくる。
だからこそ流れや運では勝ち目のない戦いである。明日からの3連戦ではただただ実力のみが試される。
しかし悲観しすぎることはない。
何といっても今年の中日はここ5年で1番強いのだ。
今シーズンの中日はチームUZRがダントツ1位であり、チーム打率も1,2を争うくらい優秀な選手たちの集まりだ。きっとこの劣勢でも跳ね返す力がまだ残っているはずだ。
ただ現実問題として今年の中日は未だマツダで0勝である。
じゃあマツダで勝つためにあと何が足りないのか。
スポ魂の世界では「気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!」という言葉が通じるだろうがそんなものは気休めにしかならない。
本当に勝つために必要なもの、そして前述した落合政権時代と根本的に違うのは
「考える力」である。
落合政権時の選手たちの判断能力・思考力はずば抜けていた。それは今は解説者になった川上さん・谷繁さん・井端さんたちの言葉からもわかるだろう。
事前の準備に始まり、試合中の修正、そして反省とこれだけ頭を使って野球やってりゃ勝てるよと思い知らされた。
そしてこれこそが今の中日には絶対的に足りてない。京田や、大野雄大や、柳や、周平が超一流・全日本レベルにまでなり切れていない理由の1つである。大島と平田ぐらいしか落合さんが求めるレベルに達してないだろう。
もちろんこんな能力が一朝一夕に身に付くわけもない。だからこそ来シーズンの井端コーチ就任は「昇竜復活」には不可避なのだ。
ただ今からでも明日以降の3連戦に向けて少しでも頭を使うことはできる。
大瀬良始め、広島投手陣のデータを読んだり、今までの守備走塁を見直したりとほんの少しの準備なら一夜漬けできる。
いくら実力テストと言って腹をくくっても最後の悪あがきぐらいはするものだ。
やらずに後悔をするくらいなら、やって後悔したほうが次につながる。
明日からの3連戦、とても楽しみになってきた。