みんな違ってみんないい

シーズン前半の中日ファンに「最後には巨人戦6連勝して終わるから」と告げたら99.9%の人は「嘘言うな」「寝言は寝て言え」と言われることだろう。事実、自分もそういう言葉を言うであろう人の1人だ。

シーズン中盤まで面白いように巨人相手に勝てなかった。3連敗こそ東京ドームでの1回のみだが、カード勝ち越しは0回、初戦をとっても2,3戦目には力の差をまざまざと見せつけられる試合が続いた。

風向きが変わったのは、8月8日の菅野vs柳の試合で3点ビハインドから追いつき、引き分けに終わった試合だろう。

wdg30.hatenablog.com

このブログにあるように勝てそうで勝てない実に惜しい引き分けだったが、この試合ではリリーフ陣が非常に素晴らしい投球を見せた。なんと7回~12回までの6イニングをノーヒットリレーでつないで見せたのだ。この試合で与田監督はリリーフ陣に信頼をかなりおけると確信したのだろう。逆に原監督はリードされたら勝てないという思いを抱いただろう。(それだけに一昨日の阿部vs大竹での内野の守備位置は意味不明だった)

wdg30.hatenablog.com

そしてこの8月8日以降の巨人戦では6勝2敗、リードしたら負けないという無類のリリーフ陣の強さを見せつけた。

今日はこのリリーフ陣に焦点を当てていこうと思う。

主なリリーフ陣は勝ちパターンの藤嶋・ロドリゲス・岡田と、何でも屋の福・マルティネス、ロングリリーフのできる又吉・三ツ間、ビハインドの祖父江という8人。この8人がほぼ全員タイプが違うし、役割もある程度決まってきつつあるというのがこの8月後半からの好調さの要因だろう。

まず頼れる助っ人外国人2人。

彼らは正直言ってNPBのレベルにふさわしくないほどの実力を持っている。リアル怪物くん。多少の好不調なんざ気にならんほどの球威のあるストレートとチェンジアップ&スライダーのキレがあり、今年のプレミア12と来年の東京五輪で敵にならないことと来年も中日に残留してくれることを願うばかりだ。

 

次は福&岡田の左腕コンビ。

彼らの素晴らしさはコントロールの良さと度胸の良さにつきる。投げるボールの速さはロッド&マルに比べれば数段落ちるが、それを補えるくらいの度胸の持ち主である。誰が相手でも逃げずにストライクゾーンにバンバン投げ込む。この気持ちの強さは近年まれにみる投手力であり、来年以降も期待できるだろう。

 

藤嶋は昨オフには先発として期待されたものの血行障害というある種の「中日病」で中継ぎに再転向を余儀なくされる。それでも昨シーズン通りの投げっぷりの良さと上原譲りのストレートのキレとタイミングの取りにくさに加えて今年はスライダーを一段と進化させ、途中まで防御率0.00を誇っていた。指の調子が万全になり、あと1球種身に付ければ先発再々転向だって夢じゃない。

 

祖父江はなんだかんだ打たれながらもチームが欲するタイプの投手であることに疑いはない。2種類のスライダーとストレートとツーシームという極めてオーソドックスなタイプの右腕ながら、眼光の鋭さとテンポの良さで左右関係なく仕事を果たす。「ビハインドの」と形容したが、先の広島戦ではセーブも上げており、まさに「必殺仕事人」である。前半戦に調子のよかった谷元や田島もこの役割ができるようになれば来年は鬼に金棒だろう。

 

最後は又吉&三ツ間のサイドスローコンビ。

ある程度先発を早めに下せるのもこの2人が安定しているからであり、何度か手痛い失点を経験したものの、酷使しなければ2,3イニングは任せられる存在であり、強いチームには必要不可欠な存在である。又吉はサイドスローとは思えないほどのストレートの速さとキレ、三ツ間はサイドスロー特有の沈むストレートを武器にしており、どちらももう1球種キレと精度を高められれば藤嶋や岡田に並ぶ存在になれる逸材である。

 

彼ら以外にも2軍には鈴木博志、谷元、田島、佐藤優という実績のあるメンバーが控えているという他チームからすれば恐ろしいぐらいのリリーフの陣容なのである。しかもほぼ全員が違うタイプでそれぞれの持ち味を生かしているという無双っぷりである。まさに「みんな違ってみんな良い」どころか「みんな違ってみんな最高」状態、金子みすゞもびっくりである。

言うまでもなく、ここで挙げた12人がここまで昨シーズン以上の実力を発揮できているのは、序盤戦からリリーフを大事に使った阿波野&赤堀投手コーチと与田監督のおかげである。ほかのチームが酷使でリリーフをヒイヒイ言わせてファンからのバッシングを食らってるのを鼻で笑えるレベルの神がかった投手運用である。

明日からのアウェー3連戦、少々どころかかなり苦しくなってくるだろうがまだまだリリーフ陣には頑張ってもらわなければいけない。

そしてこの頑張ってるリリーフ陣のためにもより一層の打線の奮起を促したいところである。セリーグは中日から目が離せない。