悔しさの先に

昨日のヤクルトvs中日の神宮でラストゲーム館山と畠山の引退試合ということを忘れるくらい中日が打ちまくった試合となった。木下・周平・大島・阿部によるホームランの共演神宮球場ならではと言ったところか。2桁得点となったのは、8月25日のナゴヤドーム以来、約1か月ぶりの出来事だった。

この間、中日は投手陣に助けてもらう試合が多かったので、気楽な試合展開にして先発の柳含め、投手陣につかの間の休息を与えることができたのはいい恩返しになっただろう。

この中日がヤクルトファンの心をへし折るくらい打っていた裏で、ハマスタでは巨人の優勝が決定し、原監督が8度宙に舞っていた。

今シーズン、中日は与田新監督のもと本当によく戦っていた。

打線は安定し、守備は12球団No.1になり、先発陣が長い回を投げられるようになり、リリーフ陣は恐ろしいメンバーが揃い、新戦力も現有戦力もよく力を発揮していた。

しかし、それでも優勝には遥かに及ばなかった。

自分は1人の中日ファンとして8年連続のV逸が悔しくてたまらないし、宿敵ジャイアンツが優勝してしまったのも余計に気に食わない。おかげで大勝している試合を見ながらもどこか満足いかなかったし、心から大勝を喜べなかった。こう思ってしまったファンも少なくないはずだ。

選手たちは今必死にCSという目標に向かってやるべきことを1つずつこなしている。1試合1試合を大事に戦っている。選手には今シーズンが終わるまでしっかりやり切ってほしい。

ただ、CSに進出しようがしまいが今シーズンが終わったら

「優勝に全く届かなかった」

という事実をかみしめて、この悔しさをしっかりと味わってほしいと思っている。

2014年~2018年の中日は正直言ってこの「悔しさ」の気持ちが足りない印象であった。もちろん昨シーズンまでも所謂意識高い系の荒木・吉見といったメンバーが常日頃からチームに発奮を促してはいたが、なかなか目に見えて現れてこなかった。

それが今年はかなり違う。

京田が千葉で大逆転負けを喫した後にベンチに蹴りを入れグラブを投げつけたことは有名だが、それ以外にも選手の気持ちの入り方が去年までとはあからさまに違う。そして何より、前述の千葉の件の翌日の京田然り、挽回してやろうという気持ちのこもったプレーが格段に増えた。何も考えずに神宮や東京ドームで連日連夜の逆転負けを繰り返していたあの頃のチームとは違う。

選手たちは口にはしていないが、巨人の優勝に対してとても悔しいはずだ。

この悔しさはCSに進出して勝ち進んで直接巨人に勝って日本シリーズに行くという形で晴らせれば最高だが、そうは問屋が卸さないだろう。広島や阪神DeNAにも圧倒的アウェーの敵地で勝たなければいけないというのはハードルが高い。

仮に上記の形ですぐに借りを返せなくても、シーズンオフやキャンプ中に選手全員が悔しさを忘れずに練習に励めば、倍返しでジャイアンツに悔しさと屈辱を味わすことはそう遠くないはずだ。

来年こそはナゴヤドームで与田監督が宙に舞う姿を見せてほしい。