No.9&No.10
9番や10番と言えば何を思い浮かべるだろうか。
野球に造詣の深い方なら、9番はライト、10番は控えの投手といったところだろうか。
ラグビーなら9番はスクラムハーフ、10番はスタンドオフというポジションが与えられている。
さて、サッカーに話題を移すと9番はセンターフォワード(以下CF)、10番はエースストライカーというのが一般的な意味だろう。
ことバルサにおいてはこの背番号の意味が強く反映される。
9番は(ブラジルの)ロナウド、エトー、イブラヒモビッチ、スアレスという典型的な点取り屋が付けてきた。
10番はリバウド、ロナウジーニョ、メッシというファンタジスタや天才、エースというべき選手が名を連ねる。
近年のバルサはMSN時代も含めて、スアレス&メッシの9・10番コンビで得点を量産してきた。
そして年間で2人合わせて下位チームの総得点数以上をたたき出すのだから、弱いわけがない。むしろ2014/15以外にCLを獲れてないのが失敗にすら思える。
しかし2019/20シーズンのバルサは波乱の出だしとなった…
まずはプレシーズン中にメッシが怪我をして今シーズンはまだ1試合も出ていない。
しかもラ・リーガ開幕節でスアレスは故障し、チームはビルバオに敗れるという踏んだり蹴ったりのスタート。
カンプノウでのベティス戦はグリーズマンの活躍で勝ったものの、オサスナ戦は決定力に泣き引き分けと、バルベルデ政権での最悪のスタート、近年でも稀にみる不調で幕を開けた。
そんなバルセロナだが、いくつかの復調の兆しがある。
まずはなんといっても絶対的エース・史上最高のサッカー選手・銀河系1のプレイヤーことメッシが復帰間近であるということ。
彼無しではここ10年のバルサは存在し得なく、またバルベルデの攻撃戦術もほぼ成り立たない。バレンシア戦には間に合わないそうだが、あと1,2週間もすれば彼のピッチ上での躍動する姿が見られるだろう。
やはり彼がまだまだ今のバルサには必要なのだ。
そしてカンテラーノ勢の頑張りである。
メッシがいなかったことで、不幸中の幸いになったわけだが、カルレス・ペレスやリキ・プッチ、アンス・ファティといった若き至宝たちにプレシーズンマッチからチャンスが与えられてきた。
カルレス・ペレスはここまで1ゴール・2アシスト、アンス・ファティは16歳ながらもオサスナ戦で初ゴールを挙げた。16歳でのゴールはメッシよりも1年以上も早い公式戦でのゴールとなった。
ペップの時代からカンテラーノが重視されてきたが、堅物のバルベルデは若手の登用は基本的にしなく、カンテラからトップチームに定着したのも、セルジ・ロベルトが最後という悲しき現状がある。昨年トップに帯同したアレニャも今年は初戦以外はベンチ外と苦しい状況に置かれている。
この2人の活躍はこの流れを変えてくれるかもしれない。
最後はネイマールの獲得が破談に終わったことだ。
これだけ聞くと、バルサにとって悪いニュースのように聞こえるが自分はそうは思わない。
ネイマール狂騒曲とも一部メディアで言われていたように、この1,2か月は選手もファンもフロントやネイマールに振り回されてきた。
したがってネイマールの移籍がなくなったことで少しは選手や監督にも落ち着きが出るだろうし、前述したカンテラーノたちの台頭にはむしろいいニュースだ。
代表ウィークも終わり、もうすぐリーグ戦も再開される。
再開初戦は伏兵・バレンシアとの対決。
これだけの条件がそろった今、もはやバルサに負けは許されない。
君の名は
かつて中日ドラゴンズには8年連続Aクラス、4回の優勝、初のセリーグ連覇、日本一1回という破格の成績を成し遂げ黄金期を作り上げた監督がいた。
そう、皆さんご存知落合博満さんである。この名称については別途ブログに書く予定なのでそちらで詳しく語ろうと思う。
その時代の前半期(2004年~2007年)では、荒木・井端のアライバコンビや、主砲タイロンウッズ、エースの川上とベテランの山本昌、死神岩瀬といったそうそうたるメンバーが全盛期を築き上げ歴代最強のチームとなっていた。
もちろん彼らの実力は疑うところはなく、超一流選手の集まりだったが、その中でもずば抜けて野球が上手かった選手がいた。
その選手こそが福留孝介である。
彼は1998年のドラフト1位(逆指名)で中日に鳴り物入りする。当初はショートでの入団だったが、あまりの守備難に山田監督が本格的に外野へのコンバートを図るとこれが大成功。以降は外野の守備の名手として現在でもそのイメージは受け継がれている。
彼は2002年~2007年の時代、走攻守すべてのレベルが超超一流というスーパーマンであり、圧倒的な存在であった。怪我に泣かされたことも多かったが、彼なくしては前半の黄金期はあそこまで圧倒的な強さにならなかっただろう。
打っては毎年のように3割超えるアベレージに加えて30本塁打というナゴド移転以来日本人初の快挙も2回達成し、守っては英智・アレックスとともに最強外野陣を形成し、走塁でも随所に好走塁を見せ、さらには俗にいう「意識高い系」としてチームを引っ張るなど、完全無欠の打者として君臨した。
そして彼は2007年オフにメジャーへと旅立ち、2012年のオフに日本へ帰ってきた。
当然中日に帰ってくるものだと思っていた自分は「阪神入団」の一報を聞いて愕然とした。
それから6年間、福留は阪神の選手として再び才能を開花させ、打撃こそ少しは衰えを見せたものの守備は相変わらずのうまさを見せつけてきた。さらには持ち前の意識の高さでチームを引っ張っている。中日にいる38歳の並の自称ベテラン外野手とは大違いである。阪神の若手外野手がどんどん1軍に出てくるのも福留の影響が必ずあるだろう。
さて昨日の試合、3回表に全ての中日ファンに「ある記憶」をフラッシュバックさせる一撃が飛び出す。
現在の竜のエース・柳から福留が放った3ランホームランだ。
しかも打った瞬間にそれとわかる一発。福留がホームランを確信したときのバット投げのおまけまでついてきた。
この瞬間に7年前のフロントの失態を呪うとともに、ナゴヤドームで無慈悲にホームランをかっ飛ばした「中日の福留」を忘れてしまうくらいの衝撃だった。
一方こっちの38歳のベテラン外野手・藤井淳志はチャンスであっさりレフトフライを打ち上げ凡退する。藤井に対して「君の名は」と問いたくなるような内容だった。
しかしまあこれこそが藤井クオリティ、13年間変わらない彼の持ち味である。
そして今日は藤井が7番ライトで先発出場。
持ち前の意外性を武器に存分に活躍してほしいものだ。
本当の戦いはここからだ
9月10日~9月12日まで行われたマツダスタジアムでの広島vs中日の3連戦。
結果は中日の1勝2敗と3カードぶりのカード負け越しを喫した中日だが、鬼門のマツダスタジアムで今シーズン初勝利を挙げたことを考えればかなり善戦していたと考えてよいと思う。実力もそれなりについてきたということだろうか。
ただし、3戦ともに勝てるチャンスは意外にも多かった。今までは完膚なきまでコテンパンにされる展開が多かっただけに、それだけ中日の調子が上向いていたということだろう。
少しこの3連戦を振り返ろう。
初戦は初登板からの4連勝を目指した梅津と広島の絶対的エース・大瀬良の投げ合いとなった。
梅津が不用意な2HRで3点を奪われるもマツダでの7回3失点は十分すぎる結果であった。特にストレートの調子がよくない中で2種類のスライダーを投げ分け、大野奨太の冷静なリードもあってなんとかかんとか抑えていた。
それだけに小園に打たれた2ランが本当に悔やまれるが、それは彼の今後の成長を考えれば安すぎるくらいの勉強領である。
それよりもファンとしては1点も取れない打線に落胆することとなった。
もちろん広島守備陣のここぞという場面でのファインプレーも大きかったが、チャンスで凡打やランナー1塁でゲッツーを繰り返す打線のまずさが目に付いてしまった。
3-0で敗れたが、リリーフの使用を最大限控えられたことが大きかった。
2戦目は復活を期す小笠原と床田の左腕対決となる。
中日は前日の嫌な流れそのままに初回に加藤のミスからあっさり先制されてしまう。
さらに、序盤からカーブを多投しまくるというリード。案の定3回に2死から鈴木誠也にカーブをレフトフェンスまでもってかれ、その流れで痛恨の2失点目を許した時点でファンはお通夜ムードに。
しかし与田監督の4回で小笠原を見捨てるという英断に答えるように打線が5回で追いつき、残りのイニングをリリーフ勝負に持ち込む。
現在の中日には他球団ならリリーフエースを任せられるくらい力のあるリリーフがごろごろいる。彼らはその実力にたがわぬ活躍をし、ピンチでも冷静に切り抜け、9回まで0でつなぐ。
そして勝負はあっけなく終わる。10回表に調子に乗った広島バッテリーのすきを見逃さなかった京田の一振りで勝負あり。皮肉にも打ったのはカーブ。値千金の決勝ホームランとなった。
2-3というスコア以上につかれた試合となったが、鬼門マツダスタジアムでの今シーズン初勝利を挙げた。
3戦目は登録即先発となった阿知羅と野村の先発。
この日も長野のホームランを浴びた阿知羅を4回で見切り、リリーフ勝負に出た与田監督。そして2点ビハインドの8回に代打の直倫が同点タイムリーを放つという采配もズバリ的中する。
そして自慢のリリーフ陣が又吉が1点を失った以外は8回まで冷静に同点のままでつなぎ、9回へ突入する。
勝負の明暗が分かれたのは9回の1死1,2塁という状況だった。
お互いにヒット→バント→申告敬遠という流れは一緒。
中日は絶対的4番のビシエド、広島は途中出場の堂林。
ビシエドはフランスアの直球に力んだのか、やや強引に打球を飛ばし併殺網にかかって0点に終わる。
一方堂林は藤嶋の直球に空振った後に一度落ち着き、直後の高めのスプリットをはじき返しレフト福田の真横を抜けるサヨナラタイムリーを放つ。
3戦とも本当にあと一歩だった。
だがその「一歩」を埋めるのにはかなりの時間がかかるかもしれないと思わされた試合内容でもあった。
特にリリーフ陣を総動員して1勝1敗に終わったという代償は大きく、今日明日の柳・大野雄大には最低でも7回は投げてもらわないといけない状況になってしまった。
しかしまだまだ希望の光は潰えていない。
前述したルーキーの梅津始め、代打であと少しでスリーランという打球をかっ飛ばした石垣、悩める京田の秘めた長打力、加藤の試合通しての成長とポジれる要素はたくさんある。
何より今シーズンのオフには井端コーチがやってきて、勝ち方・野球への考え方を根本から教えてくれるに違いない。
今シーズンも残り10試合強。ここの10試合を全力で戦うことがまずは大事だ。
結果はどうあれ、選手が「やり切った、でも悔しい結果に終わった」と思えるようなシーズン終了を迎えられれば来シーズンは明るい。
本当の戦いはここからなのである。
実力
先週、中日ドラゴンズはジャイアンツ・DeNAという上位2チームとの6連戦を6連勝という誰も想像していなかった形で締めくくった。
「これが1か月前なら」とか、「シーズン序盤にできていれば」なんて声もちらほらTwitterでは聞かれるが、そんな連勝をできるほど序盤は戦力は充実していなかったというのが事実であり、来シーズンへの課題となるだろう。
一方、6連勝を果たし、広島と阪神がそこまで勝ち星を伸ばせなかったことで、終戦間近だったCSと4位の椅子がわずかに見えるようになってきたのも事実である。
私はシーズン始まったころから
「中日の選手たちには力はある、それを最大限活かしきれていないだけだ」
という考えの持ち主なので、中日が上位チームにとって終盤に苦しむ相手になりうることも全く想定外ではなかった。(もちろんここで6連勝できるとは夢にも思っていなかったが)
選手個々の能力は2010年や2011年の落合政権時代と見劣りしないように思える。
与田監督の選手への熱い思いや、選手の不屈の魂が徐々に出始めてきた。
若手の頑張りや、崖っぷちからの復活を見事に果たした選手たちが現れ始めた。
これこそが今の6連勝という状態の良さの正体であると睨んでいる私からすれば、明日からのマツダでの広島戦は一種の実力テストのようなものであると考えている。
はっきり言ってこの3連戦はかなり厳しい。
エース大瀬良・ホープの床田・中日キラー野村の3本柱を擁し、しかもチーム状態は僅差で阪神に競り勝つという中日に負けず劣らずの好調さ。3連敗する可能性はかなり高い。
大逆転優勝や、2位でのCS進出に向けてはマツダの中日戦では絶対負けられないという選手とファンの熱意が試合開始前日でも伝わってくる。
だからこそ流れや運では勝ち目のない戦いである。明日からの3連戦ではただただ実力のみが試される。
しかし悲観しすぎることはない。
何といっても今年の中日はここ5年で1番強いのだ。
今シーズンの中日はチームUZRがダントツ1位であり、チーム打率も1,2を争うくらい優秀な選手たちの集まりだ。きっとこの劣勢でも跳ね返す力がまだ残っているはずだ。
ただ現実問題として今年の中日は未だマツダで0勝である。
じゃあマツダで勝つためにあと何が足りないのか。
スポ魂の世界では「気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!」という言葉が通じるだろうがそんなものは気休めにしかならない。
本当に勝つために必要なもの、そして前述した落合政権時代と根本的に違うのは
「考える力」である。
落合政権時の選手たちの判断能力・思考力はずば抜けていた。それは今は解説者になった川上さん・谷繁さん・井端さんたちの言葉からもわかるだろう。
事前の準備に始まり、試合中の修正、そして反省とこれだけ頭を使って野球やってりゃ勝てるよと思い知らされた。
そしてこれこそが今の中日には絶対的に足りてない。京田や、大野雄大や、柳や、周平が超一流・全日本レベルにまでなり切れていない理由の1つである。大島と平田ぐらいしか落合さんが求めるレベルに達してないだろう。
もちろんこんな能力が一朝一夕に身に付くわけもない。だからこそ来シーズンの井端コーチ就任は「昇竜復活」には不可避なのだ。
ただ今からでも明日以降の3連戦に向けて少しでも頭を使うことはできる。
大瀬良始め、広島投手陣のデータを読んだり、今までの守備走塁を見直したりとほんの少しの準備なら一夜漬けできる。
いくら実力テストと言って腹をくくっても最後の悪あがきぐらいはするものだ。
やらずに後悔をするくらいなら、やって後悔したほうが次につながる。
明日からの3連戦、とても楽しみになってきた。
模擬国連⑥
模擬国連シリーズ第6弾です。
前回で1年生の時の話は終わったので今日からは2年生の時の話に入ります。
かくかくしかじか研究統括になった自分でしたが、先代の研究統括の方の名前すらあやふやであり、ましてやその仕事なんて1年生の時には知るはずもなかったので、2年生の最初の段階では具体的に何をすればいいのかほぼ全くわかってませんでした。
(注:研究統括になる際に「引き継ぎ書」というものを先輩から渡されました。とてもハイクオリティなのでわかりやすかったのですが、如何せん自分に模擬国連の知識だとか前提だとかそういうものが全くなかったので途方に暮れていたのです。)
しかし2年生に入るや否や仕事は否応なく入ってきます。
まず最初の会議となる強化会議というものが2月にあります。
当然その準備をしなきゃいけないのですが、なんせ模擬国連始めて1年ですし、しかもまともな会議経験は5個と、ルール(以下「プロシージャ」と呼びます)や国連組織自体にも疎い自分としては苦痛でしかありません。
しかも助言を求めてくるのは自分よりも会議経験豊富なディレク(先日出てきた関西大会でディレクを務めた方です)なので、超高度なことを聞かれ、当たり障りのないことしか答えられないという現実…
この時には
「なんで俺より模擬国連のことに詳しいあなたが実質ずぶの素人の俺にあなたがわからないことを聞いてくるんや、答えられるわけないだろ」
とか思ってました。まあ事実ですからしょうがないです。
そしてなんやかんやしていると今度は自分に会議の作成者側(以下「フロント」と呼びます)にならないかというお誘いが来ます。その会議とは春の1日体験会議(以下「春一」です)という会議で、新歓にとってとても大事な会議になるので、ここで自分が渋って時間が無駄に過ぎるのは良くないという判断でフロント入りしました。
(余談ですが、この時点で春一の進捗が遅く、心配していたこともあってのフロント入り決断でした。そしてこの心配が後々的中するのです。)
これで同時に2つの仕事を抱えることになり、すでにパンク状態になります。
そしてタイミングというのは上手くいかない時にはとことん上手くいかないものです。
新歓会議という文字通り1年生に新歓をするための会議の大まかな企画書も同時に飛んできて、さあ大変です。
もはやもう破裂寸前ですが、この時期になると強化会議のほうが終わっていたので、何とか決壊せずに持ちこたえます。
上手く新歓会議の企画書をやり過ごしたところで、強化会議に自分も大使(デリゲイツ、以下「デリ」とします)として出るので、その準備に追われます。このころはただひたすら時間がありませんでした。
さてその強化会議当日でまた事件が起こるのです…
事件が起きたのは2泊3日の合宿の2日目でした。
会議も大詰めとなり、最後の投票を残すのみということになったのですが、投票行動そのものや、投票にかけられる文書のルールが複雑すぎてその場にいた誰にも正解がわからなかったためにラストを残して議場は大混乱になってしまいます。
自分ももちろん何とか対処しようと心がけたのですが、模擬国連を高校からやっている猛者ですら対処不能な案件です、歯が立つわけもなくただただあたふたしているだけでした。
この一件は関西の先輩方に同期が色々聞いてなんとなく解決されたようになりましたが、自分としてはほぼ何もわかってませんでした。
この時点で「自分が研究統括である意味なんかないやろ…」と強く思うようになり、強化会議が終わったどこかのタイミングで辞職したいななんてことを思ってました。
まあとりあえず先輩のお力もあり、強化会議を乗り切ると本格的に春一の準備で忙しくなります。
ということで今回はここまでにします。次回以降に続きます。
台風の目
本日9月8日は関東南岸に台風15号が接近していて、JRなどの一部の電車には早くも運休情報が出ているくらい勢力が強いらしい。
台風には必ず「目」という部分が存在し、そこでは風も雲もない一時的な晴れ間が出てくるらしい。この「台風の目」という表現はこの本物のことだけではなく、激動の出来事の中心という意味でも使われるのだ。
そして、現在セリーグの「台風の目」になっているのは我らが中日ドラゴンズである。
まずは9/3~9/5にかけて首位ジャイアンツ相手に敵地で3連勝を飾る。しかも先発が相手のメルセデス、菅野、桜井に対して、22歳山本、21歳小笠原、19歳山本という超未来ローテでの3連勝ということで一気に調子が上向いた。
このまさかまさかの3連勝、一番喜んだのは中日ファンだろうが、それに負けず劣らずのDeNAファンの喜びようであった。
DeNAにしてみれば直接対決前に巨人の調子をこれだけ落としてくれた中日に感謝カンゲキ雨嵐といったところだっただろう。
そして一昨日、昨日と2位DeNAとのナゴヤドームでの対戦である。
我らが中日ドラゴンズはセリーグの優勝争いを面白くするという無粋なことを考えずに、DeNA相手に2連勝。これで5連勝と大型連勝の予感すら感じさせる勝ち方であった。
これに喜んだのは皮肉なことに巨人ファンで、対照的にDeNAファンの顔はナゴヤドームのごとく真っ青に染まってしまった。
特にDeNAは初戦を中日への絶対的キラー・平良に任せての敗戦となった時点で悪寒がしただろう。
3点ビハインドを追いつき、いつもの流れに持っていったとラミレス監督が思ったところで竜の主砲・エルタンケの一発で平良を粉砕し、勝負あり。
又吉のロングリリーフでの好投も光り、平良に通算で初めて負けをつけることに成功した。
2戦目は柳が10勝目をかけて8度目の正直に挑んだ。
初回いきなりロペス・筒香に連続ホームランを浴びる最悪の展開…
しかしこの日は打線のやる気が違った。
初回にエルタンケのタイムリーと阿部の内野ゴロですぐさま同点。
2回には一挙4点を挙げてルーキー上茶谷を今季2度目のKOして流れを完全に中日のものへ。
その後もコツコツ点を取り、柳も最後はバテながらも、細川を三振に抑えたところで「明治大→中日」の大先輩・川上さんのようなガッツポーズで7回3失点でマウンドを降りる。
8,9回としっかり福・岡田が抑えて2か月ぶりの勝利を柳にプレゼントし、この2か月間、柳も中日ファンも待ち望んだ2桁勝利を達成した。
さて本日は左のエース・大野雄大が先発となる。
前日の柳の気迫を受け継いで、勝ちに恵まれない左腕に白星をもたらしてほしいものだ。
窮鼠、猫を噛む
「窮鼠、猫を噛む」という表現がある。
追い詰められたネズミが猫に逆にかみつくということから生まれたことわざである。
9/3~9/5の巨人vs中日の3連戦はまさにこのことわざがピッタリな結果となった。
結果からすれば巨人相手に3年ぶりの3連戦3連勝、しかもアウェーでの3連勝ということで中日ファンからすればまさに「窮竜、兎を噛む」という展開になったわけである。
阪神中日相手のお得意様6連戦で6勝してマジックを一気に減らそうと思っていた原巨人の思惑を綺麗にぶち壊したということでもお酒が止まらない。
少しずつ3試合を振り返ろう。
なんといっても初戦は梅津の32年ぶり新人登板3連勝(近藤真一さん以来)という快挙を成し遂げたということだけでも強竜復活・新ジャイアンツキラーの誕生を予感させてくれた。
次回登板は順当に行けば「マツダでの広島戦」という、今シーズンの中日にとっては未だに1勝もできていない魔境中の魔境である。どれくらいの投げっぷりを見せてくれるかはとても楽しみである。
2戦目は小笠原vs菅野という今シーズン2度目の東海大相模対決。
前回は綺麗に菅野にやられ、球界のエースという貫禄をまざまざとナゴヤドームで見せつけられた。
wdg30.hatenablog.comそれだけに菅野のアクシデントがあったとはいえ、小笠原に2勝目が付き菅野に負けが付いたのは最高のしかえしとなったというわけである。
しかも内容も初回に坂本に先制アーチを浴びた直後に4点をとって逆転。
普段は「あっさり簡潔に」がモットーなのかと思わせるくらいのバッティングが持ち味の藤井が12球も粘って無死満塁から犠牲フライを放ち、バント失敗後に大島に2点タイムリーが出るという中日らしくない攻撃を浴びせて完勝となった。
3戦目は19歳の山本が東京ドームでの初先発。
4回には周平のファールが背中に当たるアクシデントがありながらも、6回までは無失点という堂々たるピッチング。
しかしついに7回に「裏切り者」ゲレーロの一発で先制を許し、その後のピンチで福が「金の亡者」丸の犠牲フライによって2点を失ってしまう。
だが面白いのはここからである。原監督が先発桜井に代打を出したことで巨人が継投に入ると動き出した試合は止まらない。
先頭の藤井がヒットで出るとなんやかんやで2死1,3塁のチャンス。
ここで与田監督が今年1番と言っていいくらいの賭けに出る。
実質不動のショートとなっていた2番京田に対して代打石垣を送る。
その石垣が追い込まれながらも持ち前のフルスイングでレフト戦へプロ初のタイムリーヒットを放つと完全に東京ドームは中日ファンの応援で満杯になる。
巨人はたまらず投手交代するも、代わったマシソンから福田が逆転タイムリーを放ち、試合をひっくり返す。
最終回はてんやわんやありながらも守護神岡田がしっかり締めてゲームセット。
面白いくらい与田監督の決断が当たり、最高の3連戦を過ごした。
前の3連戦で巨人の結果に喜んでいるDeNAファンをしっかり地の底に叩き落す準備は万端である。
希望と絶望 第3章
最下位のヤクルト相手に初戦を取りながらも、柳・大野のダブルエースでまさかまさかの連敗で終えた夏休み最後のナゴヤドームでの3連戦。
「ブルーサマーシリーズ」と銘打って発売されていたわけだが、青くなったのはファンでいっぱいのナゴヤドームではなく中日ファンの顔と亀澤・遠藤の2人の代走になるとは思ってもいなかっただろう。
一昨日は9回に亀澤がスタートを切り、サヨナラのチャンスの芽をちぎり取った。
そして昨日は同じく9回に遠藤がスタートを切り、代打・直倫に沸いたファンの心を一瞬にして凍り付かせた。
前日に亀澤が刺されてもなお盗塁を試みた遠藤の積極性は評価するべきかもしれない。
もちろん最後の最後に代打で出てきた直倫の劇的サヨナラホームランを夢に描いていたファンとしては、昨日の今日で信じられないという思いであり、遠藤への怒りが爆発するのもある程度致し方ないだろう。
ただし、最終的に亀澤や遠藤がやらかしてしまったが、この連敗の根本的なところは打てるときに打てずチャンスに笑っちゃうくらい弱い打線にあるとしか言えないだろう。
2戦ともに先発が早い回に失点しながらも試合を作り、結果QSでまとめたとなれば投手陣に文句を言うことはできない。
特に今年は中盤や終盤での逆転勝ちは片手で数えられるくらいしかなく、残塁の山だけが残った試合を何度見せられてきたことだろうか。
こんな絶望にまみれた3連戦の中に希望の光はないといっても過言ではない。(強いて言うなら京田に30打席ぶりにヒットが出たことだろうか)
しかし、野球はプロ野球だけではない。
そう、プロ野球の外にこそ中日の希望があるのだ。
「竜の希望」、それはずばり石川昂弥だ!
誰やねんと思った人もいるだろう。
彼は現在韓国で行われているU-18W杯にて、侍ジャパンの4番を打っている同世代の中のNo.1バッターの1人である。
石川くんの活躍は異常なほどだ。
まず初戦のスペイン戦で8回に値千金の同点タイムリーを放つ。
そして昨日の宿敵アメリカ戦では初回に同点タイムリーと3回に勝ち越した直後に無死満塁から2点タイムリーを放つ大活躍。
お分かりだろうか、彼は僅差でのチャンスにめっぽう強いのだ。
つまり、チャンスにくそ弱い中日が最も欲しているタイプのバッターなのである。
このU-18W杯が始まる前から石川くんをドラフト上位に押す声はよくあったし、今でも2位指名で取りに行くべきという声が多数派である。しかも高校は地元も地元の愛知・東邦高校とあっては中日ファンもフロントも欲しくてしょうがない逸材である。
しかしこの活躍っぷりを見ていると阪神やヤクルトなども欲しがるくらいの活躍度であるため、自分としてはこの時点で1位指名で行くべきと表明しておこう。
彼の活躍を見ているだけで来シーズンへの希望の光が大きくなっていく気がしてくる。
さて、先日終戦が近いファンほどドラフトの話で盛り上がるという旨を記事の中で少ししたが、いよいよ中日ファンもその流れに乗ってきてしまっているようだ。